密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊱】葉衣観音護摩法について

  • 2020.08.03 Monday
  • 00:00

密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊱】


葉衣観音護摩法について



◎葉衣観音息災護摩供次第

息災護摩の一法である。葉衣観音法と別立てで行うか、合壇で行うか、どちらでも良い。
基本的に五段護摩であるが、約めて三段護摩で修することもできる。

薪に舎彌佉(キムシュカ)を使うとの記述も「葉衣観音経」にある。

第一 火天段、第二 部主段(孔雀明王 或いは正観音、馬頭観音)、第三 本尊段(葉衣観音)、
第四 諸尊段(吒枳王 並びに二十八大薬叉 或いは三十七尊)、第五 世天段(不動十二天)
ということになる。

◉入護摩、大日加持、部主加持、本尊加持、三平等観、芥子加持、
〔第一火天段〕火天印言、念珠を取り火天小咒を誦すること百八返、
丸香・散香・花鬘を次の如く炉の傍らに取り置く、鈴杵取りて左の机の丸香等の跡に置く、
三鈷を取て左の手に持つ、右の机の塗香と加持物とを次の如く炉の傍らに取り、
二十一支の乳木……、あとは「不動護摩」に準ず。
ーーーーー
〔第二部主段〕孔雀明王、或いは正観音、馬頭観音である。
辟除・結界には、馬頭観音がよい。息災には正観音。伝染病に対しては孔雀明王が
よいであろう。孔雀は毒に侵されないからである。
これも「不動護摩」等の部主段に準ず。
ーーーーー
〔第三本尊段〕当然、葉衣観音である。護摩法としては小咒を通用するが、大咒を密用
するところに妙味がある。「勧請本尊」は、自身観、自加持、炉中観 等々あるわけだが、
ここで大咒を通用することができるかどうかで、効験が違ってくる。
乳木百八支で、煩悩を焼き尽くす観、特に百八支を縛っている結緒(ひも)も炉中に投じて
焼き尽くすが、この結緒というものを考えないといけない。煩悩を纏めている、それは
煩悩そのものなのであるが、二元論的な見解に繋縛する、端的なもの、分かりやすいものは
「緊張」である。リラックスすることが大切なのである。



◉テクチューというダルマ
リラックスという言葉が出てきたので、このことについて、述べたいと思う。
緊張するということは、常に二元論的な見解に陥っているということである。
煩悩の見方から脱却できない。緊張元はこういうことである。
護摩法においては、「百八支」の乳木の焚焼がある。火を智慧の「火」と見立てて、
その「般若の火」で煩悩を焼く、火炎の資糧(燃料)にしてしまうのである。
考えてみれば、これは非常に観念的な儀式である。こんなことで、煩悩が滅尽するので
あろうか?   多分この儀式だけでは無理だと思う。
後で詳しく説明するが、内観的な護摩(理護摩法)が非常に重要になる。
だが、これだけではまず無理だ。もう一つの護摩法があり、これが護摩の真髄である。
先の乳木百八支だが、これを1束に纏めている紐がある。
言わば緊張し、固めているのは、この紐何である。この紐を断ち切る。
そうすると木の束は、バラけてしまう。「木の束」を「シンテク」という。
シンが「木」、テク「束(ねる)」。
チベットの密教の奥義のダルマに「テクチュー」というものがある。
24時間、途切れることなく「あるがまま」という境地は、このテクチューを
指している。テクとは「(緊張の)束」、チューとは「切断」。
なんか「意識を切断」するみたいに言うわけですが、「束ねている緊張を断つ」、
完全にリラックスする。これが「テクチュー」というダルマです。
テクニックでやろうとすると大したテクチューにはなりません。
多少、頭がいい(お勉強ができる類い)なんていうものを くっ付けていると、
これも大したテクチューはできない。自慢・高慢は大敵。これはダメ。
テクチューとか言っても、こんなのが多い。
深い帰依・慈悲がないと本物のテクチューなんてできない。
命の危険を感じる中で、立ち上がってくる「菩提心」をつかまないと難しい。
修行というものは、自分のためにやってうちは本物ではない。そんなことでは
仏教の「ブ」の字も分からん。それなのに本を書いたり、講演したりしておる。
世も末、法も末じゃ。これが本当の末法だ(笑)
我々は、本当の「大慈悲心」を得にゃあならん。真の大慈悲を廻らさんといかん。
これを幸い得たら、これを「テクチュー」に練りこむ。そうすると磐石な
達磨のテクチューができる。私の、密教においての秘密の名前は、このことに
由来する名であるから、これには熟達しているのです。



ーーーーー
〔第四諸尊段〕通常は金剛界三十七尊。この護摩法では、吒枳王並びに二十八大薬叉と
なっている。『葉衣観自在菩薩経』の講義で、「鎮宅結護の法」を解説したが、護符を
貼付する法の守護尊が、28尊の大薬叉である。

◉護摩法の『自身観』を示そう、
「観想せよ、心月輪の上に ウン字有り、変じて五鈷杵と成る。変じて 吒枳王と成る。
三面 各々 三目六臂有り、冠の上に化佛在す。正面笑容して、左面は黄色にして、顰眉
なり、右面は白色忿怒の相にして、唇を噛み 身青黒色にして、日輪の円光あり。
左右の二手は本印を結び、右の第二の手は金剛杵、第三の手は箭、左の第二の手は般若経
、第三の手は弓をとり、足は蓮花を踏み 立舞勢の如し。又、二十八のウン字有り。変じて
吉祥果と成り、変じて二十八大薬叉と成る」(印契・弥陀定印)

◉次に二十八大薬叉の和名を記しておく。四方・四隅・上・下に夫々四薬叉を観ず。
❶(東方)長大、善根、円満、黄色
❷(南方)師子、小師子、螺、栴旦、
❸(西方)師子、師子髪、自在、青色
❹(北方)能持、持葉、勤守、天名
❺(四隅)有五、五処、五可畏、平山
❻(地上)地、妙地、黒、小黒
❼(地中)日、月、火神、風神
◉(印契・降三世の印、もしくは大薬叉印)

「顰眉(ひんび)」とは、眉をひそめること。つまり眉間に皺を寄せることである。
不機嫌な時の様相である。
「立舞勢の如し」は、立って勢いよく舞う様である。
「二十八ウン字有り」は、七方に4尊ずつ(合計28尊)、自身を中心に、ウン字を種字として
観想する。ウン字が変じて、吉祥果(きちじょうか)と成る。この果物が大薬叉に成る。
吉祥果はザクロで、葉衣観音の「三摩耶形(さんまやぎょう)」、覚りの象徴的な形相だ。
であるから、葉衣観音は、葉衣仏母(ここで言う吒枳王)に変化して、薬叉(ダーキニー)の
功徳を及ぼす。少し形相は違うが葉衣吒枳王は、葉衣仏母とほとんど同じである。
三面三目六臂で、弓箭を持つ。チベットの葉衣仏母と持ち物が少し違うが、
葉衣吒枳王は、葉衣仏母であり、本体は「葉衣観音」だということだ。

吒枳王(ダキ・ラージャ)は、愛染明王だという説もある。よく分からないのである。
愛染明王は、チベット密教の最古の密法、『プルパ金剛』の十方の眷属尊の一尊でもある。
後期大乗の密教でも、後期密教に属するのが、愛染明王・吒枳王なのである。

『吒枳忿怒明王。瑜伽大教王經卷二に依る。十忿怒明王經所載。
またの名を降三世明王、金剛王、愛染王、平等王、閻魔王など同体異名である。
或いは密教の諸尊忿怒身の名である。その形像は三面で、各面に各々三目あり、
共有六臂、頂冠上有佛、正面為笑容、右面為黃色之顰眉相、左面為白色之咬唇
忿怒相、全身有青雲色日輪圓光、左右第一手結本印、右第二手持金剛杵、第三手
持箭、左第二手持般若經、第三手持弓、足踏蓮花、立如舞姿。種子はフン或いは
タ。瑜伽大教王經卷四に記載。其の印契は二拳相背、右拳在上、二小指相交如鏁、
二食指豎直、作降伏勢、即一般之降三世大印。真言は オン ダキ ウン ジャク。
(佛光辞典より  川島徳慈 訳出)』
であるから「葉衣観音息災護摩法」の第四段の観想の根拠は「瑜伽大教王経」であり、
チベット密教と同じ根拠なのである。故に、吒枳王は「葉衣仏母」ということになる。

"葉衣佛母吒枳王" あるいは "葉衣吒枳王母" というべき尊格である。
ーーーーー
〔第五世天段〕四臂不動、十二天、七曜二十八宿
これは通常の護摩法と同じである。「葉衣観自在菩薩経」の中で「陵逼」「陵犯」について
の法があると説かれている。星宿の災いを避ける祈祷攘法が示されているが、護摩法の
第五段に、法として組み込まれている。

十二天、七曜、二十八宿など供養した後、
「次、行者・施主の『四宿星宿』」とある。
❶本命星   生まれ年の七星
❷本命曜   生まれ年の七曜
❸本命宿   生まれ日の二十八宿
❹本命宮   生まれ月の十二宮
該当する本命星宿曜を供養する。これによって禍福転換できる。
以上、葉衣観音息災護摩法(五段護摩法)の大綱を示した。

ーーーーー

以上、五段の次第を大雑把に記した。専門的にやっている方には充分に伝わったと

思います。どこぞの大徳に、この次第を平滑ならしめ諸々の密教者に裨益の便を図って

頂ければと存じます。


次回、護摩の工夫など細々述べたいと思います。

では皆さま、葉衣観音菩薩、葉衣吒枳王母を念じましょう。


【葉衣十句観音経】

葉衣観世音  南無佛

与佛有因  与佛有縁

佛法僧縁  常楽我浄

朝念観世音  暮念観世音

念念従心起  念念不離心


オン ピサチ パルナジャバリー サルワ ゾラ プラシャマナイェー ソワーハー(リンポチェ伝)

おん はらな しゃばり うんはった(葉衣観音真言・八葉印)

おん だき うん じゃく(吒枳王真言・降三世印)


川島徳慈 記す

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◉令和2年8月9日(日)午前中に、念力疎通「葉衣観音 遠隔祈願会」を行います。

詳しくはこちらをご覧ください→ http://shizenfukuchi.jugem.jp/manage/?mode=smp_write&eid=1062

合掌
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◎新型肺炎コロナに対応する対応の『観音功徳聚』

→   http://shizenfukuchi.jugem.jp/?day=20200410  (ここでご覧になれます)


※ 葉衣観音(葉衣仏母)のマントラ。延命十句観音経などの集成。


◉ 葉衣観音  オン ハラナ シャバリ ウン ハッタ (八葉印)

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