密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊴】葉衣観音護摩法とパルナ樹❶

  • 2020.08.06 Thursday
  • 00:00

密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊴】


葉衣観音護摩法とパルナ樹❶



◎聖木パルナ樹は火天に成った!


葉衣観音は、胎蔵曼荼羅 蓮華部院北側、最上段に位置します。

尊名は、被葉衣菩薩(パルナシャバリー)だ。

パルナは「パルナ樹の葉」、シャバリーは「シャバラ族の女性」を意味する。伝統的には

この尊格の梵名は「パラーシャヴァリー」(パラーシャ樹の葉を纏うもの)とされてきた。

パラーシャは、「ハナモツヤクノキ」(和名)という学名の、マメ科の高木である。

ヒンドゥー教では聖木とされ、祭式などにも用いられている。ヒンドゥー教神話では、

「アグニ(火天)」が、シヴァ神の明妃パールヴァティによって、この樹の姿に変えられて

しまったとある。この樹の花は確かに火炎のようにも見える。


後期大乗と言われる「秘密仏教(密教)」は、婆羅門教やヒンドゥー教などの祭祀を取り入れて

出てきたものである。その祭祀の真髄は、「ホーマー(護摩)」である。護摩は「火祀」とも

言うが、護摩無くし密教というものはない。


護摩の実践において、大切な尊格は何と言っても「火天(アグニ)」である。

そのアグニが、パラーシャ樹(パルナ樹)に変じたというのだから、この神話が密教にとって

如何に重要か分かるであろう。



◎パルナ樹葉は護摩の供物でもある


護摩法において、欠かせないのが壇木・乳木で、法によって壇木の種類が変わる。

法によって変わるだけでなく、地域(国)によって当然変わってくる。植物の群生が

違うわけだから当然だ。


護摩の壇木は本来「ウルシ科ヌルシの木」である。だが日本では「ハゼの木」である。

縁起の良い木なら何でもいいのだと思う。壇木だけでなく、葉や花を供物としても

用いる。地域・国によって、調達できないものもあり、その地域の密教僧(熟達者)に

よって改変され制定されたのであろう。


20数年前に、インド・ネパール・チベットと前後数回で約1年間、私は巡礼や修行を

行った。当時は、見るものすべて新鮮で、単身持ち物すらないような法旅であった。

護摩供の儀式も、チベット密教の各派、ボン教、ネパール密教(仏教)、ヒンドゥー教と

いろいろな祭儀を見ることができた。幾つかはお手伝いなどもさせてもらった。


ネパールなどでは、お祝いの席でホーマーを行なう。家の庭で、例えば結婚式の

お祝いなどで行なう。僧侶を招いて「プジャ(供養)」を行なう。年がら年中、そんな

ことをやっているのだ。ある時などは、私の泊まっている宿舎の屋上がガヤガヤして

いた。うるさいなと思って行ってみると、プジャなのだ。もう何十人も居て、一日中

やっているのだ。


街角にゆくと霊祠があり神霊が祀られている。その前の地面には、真鍮で出来た

護摩の炉が埋め込まれている。ご縁日に専門の僧侶衆が盛大に「護摩」を焚くので

ある。



◎三つ眼の神々の祭祀が「護摩」である


護摩を「ハヴァン」とも言う。ヒンドゥー教のほうでは、(通常は)「大麦、胡麻、米、

バター、砂糖、乾燥果実、グッグル(樹脂)」などが供物である。

その他「牛乳、ヨーグルト、ギョウギシバ、ベルノキ葉、黒ゴマ、乳粥、カラシナの実、

バンヤンジュ、ハナモツヤクノキ、アセンヤクノキの薪(たきぎ)」を順に、蜂蜜に浸して

から護摩を行う。日本では「蘇油(そゆ)」であり、胡麻油と甘味が入ったものである。


マハトゥリムンジャヤのマントラを数人で何日もかけて何十万と唱える。

「ハナモツヤクノキ」がパルナ樹で、今でも護摩法に使う大切なのは薪なのだ。

パルナ樹ということは、それは「火天」であり、「葉衣仏母(葉衣観音)」の供物だと

いうことなのである。ここでいう「マハトゥリムンジャヤ」とは、三つ目の神で、

シヴァ神のことだ。日本の不動明王だ。


シヴァ神の神威の相に、仏菩薩が「変化(へんげ)」して不動明王になった。

シヴァ神=不動明王ではない。仏菩薩と土地神には、「権類」「實類」の違いがあるのだ。

この意味をよく考えていただきたいと思います。

参考までに「マハトゥリムンジャヤ」のマントラを示します。


【マハトゥリムンジャヤ】

〔サンスクリット〕

ॐ ह्रौं ॐ जूं ॐ सः ॐ भूर्भुवः स्वः

ॐ त्र्यम्बकं यजामहे सुगन्धिं पुष्टिवर्द्धनम् । उर्वारुकमिव बंधनान् मृत्योर्मुक्षीय मामृतात् ।।

ॐ स्वः भुवः भूः ॐ सः जूं ह्रौं ॐ ।

〔日本語カタカナ表記〕

オーム トリャンバガン ヤジャマヘ スガンディム プシュティヴァルダナン

ウルヴァールカミバ バンダナン ムリュトール ムクシャ マムルタート

〔意訳〕

「オーム、三つの眼の世尊よ、私たちは拝します。香りの良い、繁栄を増益する者を。

キュウリがその茎から離れるように、私は死から解脱する。」


護摩の本尊は三つ眼の尊格、不動明王が最もふさわしい。守護尊のほとんどが火炎を

背負っている憤怒の相である。激しく運動している形相だ。

葉衣観音菩薩も、変化身として葉衣佛母吒枳王に成るのであり、吒枳王は愛染明王とも

されているから、まさに護摩法と関係が深い。日本ではあまり注目されて来なかったが、

葉衣観音菩薩(葉衣吒枳王母)は、密教守護尊なかの守護尊というべき存在なのであるとさえ

いえる尊格だ。護摩供は、段木・乳木や樒などの葉っぱを用いるのであるから、植物を

司る葉衣尊は、なくてはならぬ存在だと思う。日本でも三十三観音の一尊であるという

認識しかなかったという事実がある。

葉衣観音は初期密教経典に由来する、雑密であることもきいているかもしれない。

だが胎蔵曼荼羅には描かれているのだから、法が盛んにならなかったのは不思議だ。



◎葉衣観音菩薩は男尊である!?


実は葉衣観音菩薩は男尊なのである。

佛菩薩には、男性女性の性別はない。だがその働きから、男尊、女尊というのは

あるのである。皆さんもそこのところに注目された方もいたかもしれない。


このことも "アオキ・ジャナ・ダーキニー" が教えてくれたことなのである。

私は、7月26日、27日、28日、29日、30日と連続で、葉衣霊夢を見たのである。

29日と30日の霊夢、葉衣尊の女尊から男尊の変遷など、近日中に記したいと思う。


葉衣の精たちは霊夢において導いて伝えてくれます。
摩訶不思議なる葉衣観音菩薩を念じて、新型コロナの縁起をよくしましょう。

【葉衣十句観音経】
葉衣観世音  南無佛
与佛有因  与佛有縁
佛法僧縁  常楽我浄
朝念観世音  暮念観世音
念念従心起  念念不離心

オン ピサチ パルナジャバリー サルワ ゾラ プラシャマナイェー ソワーハー(リンポチェ伝)
おん はらな しゃばり うんはった(葉衣観音真言・八葉印)
おん だき うん じゃく(吒枳王真言・降三世印)

川島徳慈 記す
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◉令和2年8月9日(日)午前中に、念力疎通「葉衣観音 遠隔祈願会」を行います。

詳しくはこちらをご覧ください→ http://shizenfukuchi.jugem.jp/manage/?mode=smp_write&eid=1062

合掌
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◎新型肺炎コロナに対応する対応の『観音功徳聚』

→   http://shizenfukuchi.jugem.jp/?day=20200410  (ここでご覧になれます)

※ 葉衣観音(葉衣仏母)のマントラ。延命十句観音経などの集成。

◉ 葉衣観音  オン ハラナ シャバリ ウン ハッタ (八葉印)
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