密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊵】葉衣観音護摩法とパルナ樹❷

  • 2020.08.07 Friday
  • 00:00

密教【葉衣観音菩薩の大功徳㊵】


葉衣観音護摩法とパルナ樹❷



◎聖火を起こすパルナ樹


パルナ樹を梵語で「パーラシャ palasa」という。パーラシャは、ハナモツヤクノキが

植物名である。今日はヒンドゥー教の角度から、パルナ樹を考察してみたいと思う。


この木はヒンドゥーの聖木で、インドやネパールでは何処にでもある樹である。

この木の棒を擦り合わせて、供儀祭の護摩の火を起こす。この樹の三枚の小葉からなる

三出葉は、ヒンドゥーの神々でも主要な三神、ブラフマー(創造神)、ヴィシュヌ(世界

維持の神)、マヘーシュバラ(破壊と再生のシヴァ)を象徴しているという。


パーラシャの木材も、荼毘に付する際(火葬)、薪に火を点ける焚き付けとして使われる。

あるいは供犠の祭りのときに、生贄の首を固定する柱として用いる。バラモンの青年の

聖紐式でも、式を受ける者は右手にパーラシャの枝を持つ習慣がある。


ヒンドゥーの根本神であるシヴァ神が、明妃であるパールヴァティーの純潔と忠誠を

確かめるために彼女に近づいた時、シヴァは手にパーラシャの枝を持っていた。これは

インドの古代詩人カーリダーサが述べたことである。


古代印度のヒンドゥーの人々は、パーラシャの枝で牛に触れると、乳の出が良くなると

考えていたので、牛を触るときは必ずこの枝を用いたという。この習慣は代々伝えられて、

ハナモツヤクノキの材木には、牛小屋から悪霊を祓い除ける力があるとも信じらている。



◎パルナ樹の縁起


インドの古文献『マツヤ・プラーナ』には、ヒンドゥー儀式に則ったこの木の植え方が

説かれている。ハナモツヤクノキにカラシナの種子、オオムギとゴマの草を捧げ祭るよう

指示されている。プジャ(供養)の際の「聖火」もパルナ樹で起こされたものでなければ

ならない。

インドのグジャラートのラージプート族では、今でも少年少女はこの樹を礼拝するように

連れていかれ、頭髪が剃り落とされる。ラージプート族はグジャラート州の部族だが、

雑多の民族の混合である。古代のカーストの武族階級クシャトリヤだとの自負がある。


『パドマ・プラーナ』には、パラーシャ樹にまつわる伝説がある。

或る時、シヴァ神と明妃のパールヴァティーが人里離れたところに居た。神々はアグニ神

(火の神)に、その場に行くように命じた。バラモンの姿に変身してアグニ(火天)は赴いた。

これを知って明妃パールヴァティーは気を悪くして、アグニに命じた主謀者・共犯者に

呪いをかけて、樹木に変えてしまった。その結果、ブラフマー神はハナモツヤクノキに、

ヴィシュヌ神はインド菩提樹に、ルドラ神はベンガル菩提樹になった。


◎ヒンドゥー儀礼「死者の葬儀とパルナ樹」等


ヒンドゥーの習慣では、異国で死んだ者や、亡骸が見つからない者の葬儀は、360本の

クシャ草(インド吉祥草)か、ハナモツヤクノキの枝を亡骸の各部に見立てて人型・人形を

作り、葬式を行なう。あるいは亡骸の耳の部分をハナモツヤクノキの葉(パルナ葉)で

作るというのもある。


ハナモツヤクノキは、宗教上の断食・禁欲を行なう「ヴラダ儀式」の中で使われること

から、聖木とされ、大きな祝宴の際には、この樹の葉をおり合わせて作った皿や器が

使われる。この葉は家畜の餌にもなる。猪豚の餌にもなる。このことは後々出てくるので

記憶しておいて頂きたい。


ヒンドゥーの供犠祭では、九つの惑星の災禍を鎮めるために、ソーマ酒がパラーシャ樹に

捧げられる。パラーシャは、月の神チャンドラと近しいとされる。或る月の9日には、

パラーシャ樹の葉をチャンドラ神にお供えするという習慣もある。

また、ハナモツヤクノキは月蝕や日蝕のときにも祀られ、初潮のお祝いや新しく神像を

設置する際にも祀られる。


◎アストラル「内観護摩法」の伝授

私は前に「三つの護摩法」について述べた。
「三つの護摩法というものがある。以下の通りだ。❶事物で行なう護摩法(事)
❷生理的エネルギーで行なう護摩法(行)❸メンタルで行なう理護摩法(理)。
本来は、❶❷❸の三法を一つにして行なうのであるが、意識的に別々に行なっ
てゆく。特に❷は、次第書による作法ではなく、体内の発火を行うものである
から、命がけのものになる。この時に、一切衆生の苦を思う慈悲心がなければ
ならない。自然に分け入って行なうのが普通で、成功してくると蛇が出現したり、
行者が現れたり様々な現象が起きる。❸は、❷を土台にした「心内の護摩」で
「理護摩」という。❷や「念」が伴わないと「理護摩」は観念の遊戯になって
しまう。火を焚いているだけの、原始人の「火」崇拝と同じようなものになっ
てしまう。この境地に至ってはじめて「煩悩」をエネルギー「薪・燃料」として、
火炎に変化させるという「明王」の境地に立つ事ができる」と。

さらに「葉衣観音 辟除結界念誦法」として、次の如く解説した。
「葉衣観音(葉衣仏母)の辟除・結界法、伝授のつづき。普通の合掌でも良いが、
八葉印で行なう。(※八葉印は蓮華を意味しているが、これは家を守る垣根・
壁柵と見ることもできる。)
古神道のほうでは「つまぐしの契り」。神道におけるマントラは和歌である。
(※「真言」と書いて、真言密教の場合は「しんごん」と訓み、古神道や神仙道
の場合は「しんげん」と訓む。)
自分の法座(仏間)でもよいが、見晴らしのよい外でもよい。観想(イメージ)の中
で行なうことでもよいが、見通せる場があれば一番。だが他に人には見られ
ない環境がよい。帰依・発菩提心など、いつものように読経・真言念誦など行
なう。葉衣観音の辟除・結界法であるから、先ず観音菩薩を強く念じる。いつ
も言うが総論は、観音菩薩。その後 各論で、葉衣観音の念誦に入ってゆく。
できれば大咒(葉衣観自在菩薩根本陀羅尼)を修唱するのがいい。小咒の心真言
でもよい。マントラの効果を出すための秘伝をお教えしよう。とにかく、根本
は動機。帰依と菩提心である。これが全てと言っても過言ではない。マントラ
は、一息で三遍以上唱えるのが、悉地の秘訣(コツ)である。そのマントラの力
を十全にしようと思うなら、最低でも一万遍は修唱すること。(※できれば10万
遍、100万遍) 」と。

「葉衣観音 辟除結界念誦法」に入る前、「理護摩法」を行なう。
「三平等観」これが、内観護摩の要諦である。三平等観は、次のように観想する。

『観想せよ、如来の心は 是れ実相なり。実相は 是れ智火なり。炉は 是れ如来の身なり。
火は 是れ法身の智火なり。炉の口は 是れ如来の御口なり。火は即ち行者の中の智慧なり。
かかるがゆえに如来の身口と炉の身口と及び行者の身口と三平等なり』

「生理的エネルギー」で行なう護摩法に入る。
「事物を伴う護摩」を同時にやるのが一番だが、それを為すには密教の専門家、
阿闍梨になることが必要となる。それはお寺の人になる、そういう職に就くということ
であり、一般人には無理である。便法として、いつでもどこでもできる「内観の護摩法」
をやるのがよい。
身体は炉全体。口は炉の入り口。意(心)は「火」であり、それは「智慧(の輝き)」だと。
身体は実際の身体全体。そして内的な器官一切。さらに密教的に可視化した身体。
これは中国の経絡や五臓六腑などに見る仙道修練の「内経図」や、チベットの脈管図
などが参考になる。具体的には炉の底は、背骨(脊髄)の基底部である。

火天、軍荼利明王などを念じて「煩悩」を燃料に火炎を発する。点火は「般若智火」で
行なう。「煩悩を燃料に」と言われたって、先生どうすりゃあいいのですか?
こういうむきもあるかもしれない。
要するに緊張の元、「感情」である。爆発的な感情である怒りなんかはとてもよい。
護摩の燃料として「怒り」は使えるのだ。感情は「アストラル体」に関連がある。

こうやって「内観護摩法」を行って、「辟除結界の法」を行なって行く。
辟除・結界したい地域、土地家宅にマントラにプラスして「火炎」を及ぼすので
ある。この中でチベット密教の「トンドゥ」など功徳を廻らせる法を行なうこともできる。



◎葉衣仏母吒枳王のマントラの秘密


吒枳王(ダキ・ラージャ)は、愛染王、降三世王、諸説ある。

愛染明王の真言は「ウン・ダ・キ・ウン・ジャク」だが、

吒枳王は「オン・ダキ・ウン・ジャク」である。

葉衣仏母吒枳王のマントラは、「オン・ダキ・ウン・ジャク(オーム・ダキ・フーム・ザー)」

が、正しい。少し違いがあるが、愛染の冒頭の「ウン」は種字であり、吒枳王の「オン」は

帰命で総咒だから広い意味での種字だ。その意味で肝心なのは「ダ・キ・ウン・ジャク」だ。


これに関して、具徳金剛手という尊格を見なければならない。密教の教主、金剛薩埵が

愛染三昧に入ったのが具徳金剛手である。この尊のマントラの解析をすると…。

「ダ・キ・ウン・ジャク」を三つ分類する。「ダキ・ウン・ジャク」である。


❶ダキ…欲(欲の自性)

❷ウン…憤怒

❸ジャク…欲と憤怒の両者を鈎招す


" オーム ダーキ フーム ザー " 「帰命、一切世間の全ての有情の欲と憤怒を鈎招し清める」

あるいは「帰命、一切世間の全ての有情を欲と憤怒で清める」という意である。


ここで問題なのが、欲でありこれは「欲貪(貪りの煩悩)」だ。

憤怒は怒りで「瞋恚(怒りの煩悩)」だ。この二つを統合して昇華せしめるもの、それが

秘訣になってくる。それは「智慧」なのである。

「智慧のダーキニー」の智慧だ。それは「オン(帰命)」の一字に込められている。

このマントラの本質は「貪・瞋・痴」の三毒煩悩の昇華をうたい、さらにそれを「覚り」と

「顕現」に換えてしまおうというのである。これを基礎にして「アストラル密法」に

取り組んでいただきたいと思う。


では皆さん、葉衣観音菩薩の功徳を念じましょう。

【葉衣十句観音経】
葉衣観世音  南無佛
与佛有因  与佛有縁
佛法僧縁  常楽我浄
朝念観世音  暮念観世音
念念従心起  念念不離心

オン ピサチ パルナジャバリー サルワ ゾラ プラシャマナイェー ソワーハー(リンポチェ伝)
おん はらな しゃばり うんはった(葉衣観音真言・八葉印)
おん だき うん じゃく(吒枳王真言・降三世印)

川島徳慈 記す
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◉令和2年8月9日(日)午前中に、念力疎通「葉衣観音 遠隔祈願会」を行います。

詳しくはこちらをご覧ください→ http://shizenfukuchi.jugem.jp/manage/?mode=smp_write&eid=1062

合掌
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◎新型肺炎コロナに対応する対応の『観音功徳聚』

→   http://shizenfukuchi.jugem.jp/?day=20200410  (ここでご覧になれます)

※ 葉衣観音(葉衣仏母)のマントラ。延命十句観音経などの集成。

◉ 葉衣観音  オン ハラナ シャバリ ウン ハッタ (八葉印)
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