密教【般若波羅蜜多心経の大功徳】
- 2019.07.29 Monday
- 13:54
密教【般若波羅蜜多心経の大功徳】
〔般若ターラ菩薩像 著者蔵〕
◎般若十六善神と深沙大将
以下に般若十六善神を記す。
これらの善神が般若経を護持する者を守護する。
筆頭が、深沙大将であり、さらに十六の善神が存在している。
|K蘢囉瑟吒/提頭頼吒神王(ダイズラダじんのう)ドリタラーシュトラ。
持国天。四天王。東方守護。
禁毘嚕神王(キンビロじんのう)クンビーラ。金毘羅。
ガンジス川の水運の神、薬師如来十二神将の筆頭。鰐。十二神将
嚩日嚕神王(バサロじんのう)ヴァジュラ。
金剛力士、執金剛神。金剛杵を執って仏法を守護する。十二神将。
げ猗嚕神王(カビロじんのう) カピラ。
プ暑嚕神王(ミャキロじんのう) ミヒラ 。十二神将。
哆怒毘神王(ドンドビじんのう)ダンダヴァット。
О儞嚕神王(アニロじんのう) アニラ。帝釈天と共に空界を占める。
風神。十二神将。
娑儞嚕神王(シャニロじんのう)シャーンディリヤ。十二神将。
印捺嚕神王(インダロじんのう)インドラ。帝釈天。
金剛杵をもち雷を操る神々の王。十二神将。
波夷嚕神王(バイロじんのう) パジュラ。 十二神将。
摩尾嚕神王(マクロじんのう) マホーラガ。摩睺羅伽。
帝釈天配下。天龍八部衆。十二神将。
嬌尾嚕神王(クビロじんのう)グピラ。
眞特嚕神王(シンダロじんのう)キンナラ。緊那羅。
美妙な音声・歌舞を為す帝釈天配下の楽神。天龍八部衆。十二神将。
嚩吒徒嚕神王(バタドロじんのう)バッタダラ。
尾迦嚕神王(ビカロじんのう)ヴィカラーラ。ドゥルガー。
3つの目、18本の腕を持つ戦いの女神(准胝観音)。十二神将。
斡翹嚕神王(クベイロじんのう)クベーラ。毘沙門天(多聞天)。
富・財宝の神。夜叉族の王。北方守護。四天王の筆頭。
◎深沙大将は三体に「般若波羅蜜」を練り込むを助ける
深沙大将は、玄奘三蔵がインドへの求法の旅の時に顕現した。玄奘三蔵との前世からの因縁を告白懺悔し、守護従者となった。玄奘の霊夢の中に現れたのである。こうして般若経典の守護神になり、当然 般若心経を読誦する者に功徳を与える存在になった。
我々 日本人が読誦する般若心経は、玄奘三蔵訳出のものである。だからこそ大功徳が顕現するのだ。これは特定の人だけのものではない。いや、むしろ「摩訶般若」から離れた思想で行動する者には、さほどの功徳はゆかない。
(※例えば、多くの新興宗教でも般若心経を読誦しているが、摩訶般若波羅蜜とは逆の欲望を煽ったり、独自の手前勝手の見解が邪魔して、心経の功徳が顕現しないのである。)
前回の記事でも述べたが、深大=深沙大将の略。
その御神霊を奉祀する寺。深大寺。
清い湧き水が湧くのは、深沙大将の功徳だ。
それゆえに蕎麦粉と合わせて、深大寺蕎麦ができる。
このお蕎麦には、水を通じて「般若波羅蜜」の功徳が込められている。
三体とは、メンタル体(知性体・痴の煩悩)、アストラル体(感情体・瞋の煩悩)、
肉体エーテル体(身氣体・貪の煩悩)。
三つの識体が転ずると、大圓鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智となる。
これ「菩薩の四智」である。
深沙大将の清い湧き水は「般若の智水」だ。般若の眷属が祀られるお寺に参詣し、
摩訶般若を念じ、経を誦する。そして般若の智水で練ったお蕎麦で身体を養う。
精進をいただく。
「摩訶般若(照見五蘊皆空)」を観ず、これメンタル体に。
実際に「摩訶般若波羅蜜多心経」をお唱えする、これアストラル体に。
般若経典の守護神 深沙大将の功徳ある湧き水で練った蕎麦を食する、これ肉体エーテル体に。
こうして、三つの体に「摩訶般若波羅蜜」が練りこまれる。
◎水天尊=天御中主大神という秘説
深沙大将は水の神であり、水の神の総大将は水天尊(バロダ神)だ。
水天尊と双璧の神が、火天尊(アグニ神)で、共に遥か古代の神々である。
その歴史は仏陀シャカムニ出現以前に遡る。
ヘタをすると、釈尊以前の数千年・1万数千年前ということになる。
水天尊と火天尊の歴史は、ゾロアスター教(拝火教)にも散見される。
これらの神々に「摩訶般若」が加わるとどうなるのか?
そう、密教の曼荼羅諸尊になってしまうのだ。
曼荼羅は「輪圓具足」と訳し、マンダ・ラは「心髄(本質)を得る」ということだ。
心髄(本質)は何かというと、「摩訶般若波羅蜜」なのだ。
心髄とは、要するに「心臓(フリダヤ)の髄」だ。
実は水天尊(バロダ天)は、元々 天上の神であり、すべての龍族、水を司って
いた。天上の支配神だったことは消滅して、やがて水の神という位置付けに
なった。天御中主大神、天をアメと読むが、これは雨にも通じる。
地上の豊饒を約束する神でもある。
水天宮の御祭神が天御中主大神となっている疑問は、
古代インド以前にまで遡ることで、解消される。
まことに无べなるかな。深謀遠慮といった趣。
古代密教の主宰者たる、古代バラモンの智慧に脱帽である。
川島徳慈しるす
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