延命十句観音経の大功徳㉗『葉衣観自在菩薩経』講義❽
- 2020.03.31 Tuesday
- 00:00
延命十句観音経の大功徳㉗
『葉衣観自在菩薩経』講義❽〔補足解説(2)〕
◎『葉衣観自在菩薩経』講義❽〔補足解説(2)〕
◉牛黄を密用すること!
『又の法。若し國王の男女、長じ難く養ひ難く、或は薄命・短壽・疾病纏綿として寝食
安からざるは、皆な宿業の因縁に由て惡宿直に生ず、或は數々五曜に本宿を陵逼せられて、
身をして安からざらしめば則ち別居の處に於て牛黄を用て、或は紙或は素の上に二十八大
藥叉將眞言を書して、四壁の上に貼せよ』
これは護符を書す秘伝ですね。葉衣観音法で用いる護符を謹製するには 石・紙・壁に畫く
わけです。ここでは紙に書く秘訣を述べようとしている。紙あるいは布ですね。
「牛黄(ごおう)」を使うわけです。
牛黄というのは、牛の胆のう中に生じた結石(胆石)で、約1〜4センチメートルの不規則な球形
のものです。牛黄は薬として使われ、どのような病気の治療に用いられてきたのか。
『神農本草経』という古典には「驚癇寒熱(きょうかんかんねつ)熱盛狂痙(ねっせいきょう
けい)、邪を除き、鬼を逐ふ」と記されている。
急に何物かに驚いて卒倒して人事不省になってしまう者、高熱が続き、痙攣を起こしたり、
精神に異常をきたしたりした者の治療に使用する。
また人に悪い影響をあたえる邪気をとり除き、死人の祟りの鬼気を攘う作用があると
している。これは「邪気」「鬼気」といったものからくる病気を駆逐したり、その病気に
罹らないようにする予防医学的にも使われていたようです。
牛千頭中、一頭からしか牛黄は採れません。その価値は同じ重さの黄金 以上だと言われて
います。現代でもその稀少価値はあがっており、実際に価格も高騰しています。
この牛黄が転じて「牛王」「牛玉」になる。牛から出てくる「玉」ですからね。それも
ありがたい効能を持つ「牛の玉」で、ごおうの音に引っ掛けて「牛王」。黄色は密教の
五部でいう、宝部に属している色彩ですから黄金などに通じています。ですから黄=宝に
なる。牛宝ということになると、熊野本宮大社の「牛王宝印」ということになってくる。
霊験あらたかな神様の護符です。古来、「熊野牛王玉印」「熊野神符」と呼ばれて来ました。
「カラス文字」という不思議な文字で畫かれた護符で、朱い印璽が押されています。この
玉印の朱墨に、牛黄をまぜる。ここに護符の秘伝がある。古代インドからの伝承が日本にも
入ってきていた証です。
牛は遥か古代から聖なる動物で、人類は牛と共に生活をしてきました。古くはエジプト、
メソポタミヤ、古代インドにまで遡ることができるでしょう。仏教の開祖 釈迦牟尼は
仏陀になりましたが、王子としての名は、ゴータマ・シッダールタでした。覚った後は
ゴータマ・ブッダと呼ばれました。ゴータマを漢字で表記すると「瞿曇(くどん)」です。
漢訳のお経では瞿曇と記されています。どういう意味かというと、「優れた牛」です。
牛から貴重な黄色の宝薬が出てくる。これを仏陀の宝物と考えた。ですから熊野大社で
これを使うというのは、まさに権現信仰、神仏習合の考えと、実際の効験を狙ったという
所産なのでしょう。護符を謹製する時には「牛黄」が必要だということ、こういう法は
現在でも日本の伝統の中で生きているということ。志ざす人は、秘かにこれを研究し
実践したらよろしいと思います。
◎真の大慈悲は「本性」に留まる教えである!
或る方からメールで、「是非ともこういう時だからこそ『摩訶般若波羅蜜多心経の施経』
をやってください!」という旨の連絡が来ました。
また別の方からは、私が『摩訶般若波羅蜜多心経の大功徳』を説いたことがきっかけで、
お母さんとご本人が熱心に般若心経をお唱えし、その後お父さんが交通事故に遭ったが
無傷で、ご連絡いただき、「命の恩人です」と感謝のご報告がありました。お父さんも
般若心経を読誦し始めたと。こういうお話がありました。
こういう事をふまえて、確かにこのような時だからこそと思うわけですが、昨年『摩訶般若
波羅蜜多心経の大功徳』百話を書き、今年は『延命十句観音経の大功徳』だと考えていたら、
さっそくこの全世界へのコロナ感染の様相です。尚更、施経が必要ですが、この長い戦いを
考慮すると、施経と共に教えを述べなければならないという思いに至ったのであります。
先ず、大功徳を書かなければならぬ、その思いから、こうして書き進めているわけです。
「本性」「鏡の境地」に如何に「入るか」「留まるのか」、この工夫の一点に尽きるわけで
あります。この工夫が大事なのです。これがなければ、仏菩薩の教えということにならぬ。
では「葉衣十句観音経」を読誦しましょう。
葉衣十句観音経 葉衣観世音 南無仏
与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁 常楽我浄
朝念観世音 暮念観世音
念念従心起 念念不離心
では今日はここまで。
合掌
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〔葉衣仏母 護符ヤントラ〕
◉ゾンサル・ケンツェ・リンポチェ 葉衣仏母伝授
ゾンサル・ケンツェ・リンポチェによる、葉衣仏母(葉衣観音)のマントラ伝授です。
→ https://m.youtube.com/watch?v=39IrEG5C9kw
◎新型コロナウィルスに対応する咒
〔葉衣観音ご真言〕※この尊格は伝染病・疫病に効験がある。
おん はらな しゃばり うんはった (印は八葉印)
〔葉衣十句観音経〕
葉衣観世音 南無仏
与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁 常楽我浄
朝念観世音 暮念観世音
念念従心起 念念不離心
〔チベット密教・葉衣仏母マントラ〕
オン ピサチ パルナ シャワリ サルワ ゾラ プラシャ マナイェ ソワーハー
( ※実際の音は、次のような発音。
オン ピサチー パルナ シャーワリー サルワ ゾラ パシャマナイェー ソワーハー)
( om pishatsi parana shawari sarwa zora prasha manaye svaha )
〔観音菩薩マントラ・六字咒〕
オン マニ ペメ フム
※フリーを加えると(観音菩薩七字咒) オン マニ ペメ フム フリー
〔緑ターラマントラ〕
オン タレ トゥタレ トゥレ ソワーハー
〔観音菩薩ご宝号〕南無大慈大悲観世音大菩薩
〔延命十句観音経〕
観世音 南無仏
与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁 常楽我浄
朝念観世音 暮念観世音
念念従心起 念念不離心
〔回向〕
願わくば 此の功徳を以て 普く一切に及ぼし 我等と衆生と皆共に 仏道を成ぜんことを
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川島徳慈 記す
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